焦点深度は対物レンズと試料の距離を変化させても、像がぼやけない範囲のことです。似た言葉に被写界深度があるため、双方を混同している方もいるでしょう。
そこで本記事では、焦点深度の基本知識や被写界深度との違い、焦点深度を深くする方法を解説します。
焦点深度とは
焦点深度とは顕微鏡で試料を観察する際に、ピントの合う位置から対物レンズと試料の距離を固定して、レンズのセンサー位置を変えても像がはっきりと見える範囲のことです。英語では焦点深度をDOF(Depth of Focus)と表記します。
目の調整力には個人差があるため、顕微鏡を覗いた際の焦点深度にも個人差が生じるのが特徴です。
顕微鏡の対物レンズと試料の距離を変えた場合に、像がぼやけて見える状態を焦点深度が浅いと表します。一方、像がはっきり見える場合は、焦点深度が深い状態です。
なお顕微鏡では、対物レンズの倍率を高くするほど、焦点深度が浅くなります。
焦点深度と被写界深度の違い
被写界深度とはピントが合う位置にある試料を前後に移動させた際、ピントを再調整せずに像がはっきり見える範囲のことです。英語では被写界深度をDOF(Depth of Field)と表します。
被写界深度は顕微鏡の絞り値(F値)やレンズの焦点距離、レンズと試料の距離で決まるのが特徴です。一般的に、レンズと試料の距離が短くなるほど被写界深度は浅くなります。
また焦点深度は像、被写界深度は試料を対象とした場合のピントに注目しているのが両者の異なる点です。
焦点深度は開口数、解像度、倍率によって決まる
焦点深度は顕微鏡の開口数や解像度、倍率によって決まります。そのため、試料を適切な状態で観察するには、焦点深度と解像度のバランスが重要です。
開口数は、レンズがどれだけ効率的に光を集めるかを表しています。開口数が大きいほど、レンズに映し出される像は明るくなるのが特徴です。
解像度は、どれほど小さなものまで見えるかの目安となる数値です。倍率を高めれば小さなものでも大きく見えますが、解像度が低いと像がぼやけます。
また倍率は、顕微鏡で観察する像が元の試料からどれだけ拡大されているかを示す比率です。観察時の倍率は、対物レンズと接眼レンズの倍率を掛け合わせることで分かります。
焦点深度は対物レンズの開口数と倍率に逆比例するため、開口数と倍率が大きくなるほど浅くなるのが特徴です。
焦点深度が与える影響
焦点深度は、顕微鏡で試料を観察した際の像の見え方に影響を与えます。以下2パターンの焦点深度について、ピントの状態を見てみましょう。
焦点深度が浅いとピントが合わせにくく、ぼやけて見える
焦点深度が深いとピントを合わせやすく、はっきり見える
焦点深度が浅いとピントが合わせにくく、ぼやけて見える
焦点深度が浅い状態ではピントの合う範囲が狭いため、試料にピントを合わせるのが難しくなります。
例えば、試料の一点にピントを合わせた場合、視野の端部分がぼやけているのは焦点深度が浅い状態です。一般的に、顕微鏡の倍率を高くすると開口数が大きくなるので、焦点深度は浅くなります。
また顕微鏡を用いて試料を写真撮影する場合の焦点深度は、肉眼で観察する際の半分程度しかありません。そのため、写真撮影時のピント合わせは難しくなります。
焦点深度が深いとピントを合わせやすく、はっきり見える
焦点深度が深い状態ではピントの合う範囲が広く、観察する像がはっきりと見えるのが特徴です。
例えば、試料の一点にピントを合わせた際に、視野全体がぼやけずにはっきりと見えます。そのため、焦点深度が浅い場合のように、手前にピントを合わせて奥がぼやけることがありません。
焦点深度は深いほど、立体的な像が得られるようになります。試料の外形が分かりやすくなり、微細な段差があっても同一面としての観察が可能です。
また光学顕微鏡では、レンズの開き角が小さいと焦点深度が深くなります。一方、走査電子顕微鏡では、電子銃から放出される電子ビームの開き角が小さいほど焦点深度が深くなるのが特徴です。
焦点深度が浅くなる原因
焦点深度が浅くなる原因としては、以下が考えられます。
顕微鏡の倍率が上がっている
顕微鏡の絞りが開いている
焦点深度は対物レンズの倍率や開口数と逆比例するため、倍率を上げたことで開口数が大きくなり、焦点深度が浅くなっている可能性があります。
また顕微鏡の絞りが開いていることも、焦点深度が浅くなる原因の一つです。ただし、絞りを閉じると像が暗くなるため、観察時の光量を増やす必要があります。
焦点深度を深くする方法
焦点深度を深くする方法としては、以下の3つがあります。
顕微鏡の絞りを閉じる
顕微鏡の倍率・開口数を下げる
汎用レンズを使用する
顕微鏡の倍率を上げたために焦点深度が浅くなっている場合は、絞りを閉じることで焦点深度を深くできます。ただし、絞りを閉じても焦点深度が深くならない場合は、顕微鏡の倍率または開口数を下げなければなりません。
また同じ倍率・焦点距離で比較すると、汎用レンズを使う方が焦点深度を深くできます。
焦点深度を理解して顕微鏡のピントを適切に合わせよう
焦点深度によって、顕微鏡のピントの合わせやすさが異なります。焦点深度が深いとピントが合う範囲が広く、浅いとピントを合わせるのが困難です。
焦点深度は顕微鏡の倍率や開口数によって決まるため、仕組みを理解して適切に合わせる必要があります。
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