顕微鏡は目に見えない小さな世界を見るのに有効なツールですが、対象物や目的に応じた観察方法を選ばなければ質の高い観察はできません。本記事では顕微鏡による主な観察法を9つ解説します。それぞれの特徴を理解し、目的に合った顕微鏡を選ぶための参考にしてください。
顕微鏡による9つの観察法を比較
顕微鏡の観察法には以下の9つがあります。
照明法 | 特徴 |
明視野観察法 | 生物学や医学分野で広く使用されている観察法生体、細胞、液晶基板などの観察に向いている |
暗視野観察法 | 直接光ではなく、回折、散乱、屈折光を利用して観察する方法微生物、細胞の観察、微細な傷の検出に向いている |
蛍光観察法 | 蛍光化合物や蛍光色素を用いて染色し、観察する方法微細細胞、組織の構造分析、自家発光する生体などの観察に向いている |
偏光観察法 | 自然光などの中で偏りを持つ偏光を利用した観察法岩石、鉱物、光磁気ディスク、細胞骨格などの観察に向いている |
位相差観察法 | 直接光と回折光の位相差を利用した観察法培養細胞、生体、血液などの観察に向いている |
反射照明観察法 | 透過光ではなく反射光を利用する観察法金属などの観察に使われる |
微分干渉観察法 | 観察対象の表面形状の違いによる光路差を利用した観察法線維組織、細胞核構造など生態の観察や、磁気ヘッドの研磨面の外観検査などに使われる |
変調コントラスト観察法 | 観察対象の高低差を利用して観察する方法プラスチック容器内の観察が可能 |
分散観察法 | インデックスオイルに対象物を封入して観察する方法アスベストの検出に使われる |
それぞれ詳しく解説します。
明視野観察法
明視野観察法は、生物学や医学分野で広く使用されている基本的な観察法です。照明の透過光や反射光を利用して観察対象を確認します。観察対象を直接照らすため、背景が明るいのが特徴です。基本的には特殊な調整や染色の必要はありません。透明で確認しにくいものはコンデンサのしぼりを調整し、コントラストをつけます。極微小な構造を持つ対象を観察する際は染色が必要になることもあります。
暗視野観察法
暗視野観察法は、観察対象を反射または透過した直接光ではなく、回折、散乱、屈折光を対物レンズに取り込ませて観察する方法です。視野が暗いのが特徴で、高いコントラストが得られるため、観察対象の輪郭をくっきりと浮かび上がらせることができます。染色の必要がなく、微細な対象や無色、透明な対象の観察が可能です。暗視野観察を行うためには、対物レンズと組み合わせ条件の合う専用コンデンサが必要です。
蛍光観察法
蛍光観察法は蛍光化合物や蛍光色素を用いて染色し、紫外線や可視光線などの励起光を照射し、蛍光する部分を観察する方法です。蛍光化合物や蛍光色素は励起光を受けることで光エネルギーを吸収し発光します。この原理を応用したもので、医学分野などでよく利用される他、半導体製造工程中の残留レジストの検出、微細な埃、ごみなどの検出などに用いられる観察方法です。
偏光観察法
偏光観察法はあらゆる方向に揺れる自然光のうち、横波の光の中で振動面が偏った「偏光」を利用した観察法です。偏光は複屈折を起こす物質に当てると変化します。この変化を観察するのが偏光観察法です。主に岩石や鉱物の観察に使われていた方法ですが、近年では骨組織や筋肉線維などの観察に幅広く利用されています。偏光観察にはポラライザーとアナライザー、そして専用の対物レンズが必要です。
位相差観察法
位相差観察法は、直接光と回折光の位相差(時間や周期の違いによる波形のずれ)を利用した観察法です。照明の光路上に対象物があると、光は直進する光と回折する光に分かれます。回折光は少し遅れて届くため、直接光とずれが生じます。これを利用し対物レンズに組み込まれた位相板で直進光の位相を操作し、周囲と屈折率が異なる対象物にコントラストを作って観察できるようにするのです。培養細胞や血液など、生きた対象を観察するのに用いられます。
反射照明観察法
反射照明観察法は、対象に当てた光の反射光を使った観察法です。光源からの光がハーフミラーを通じて対象に照射され、対象から反射された光が対物レンズに像を結びます。鉱物やコンクリート、セラミックなど、光を通さない対象の観察に用いられるのが一般的です。反射照明観察法には、反射明視野観察法、反射暗視野観察法、反射微分干渉観察法があります。
微分干渉観察法
微分干渉観察法は、観察対象の表面形状の違いによる光路差で明暗のコントラストをつけ、観察する方法です。無色、透明で位相差観察法を用いる対象より、厚みのある対象の観察に向いています。立体的な像を得られるのも特徴です。相互関係にある位相差観察法での観察結果と比較することで、より正確な観察が可能になります。なお微分干渉観察法では、プラスチック容器を使っての観察はできません。
変調コントラスト観察法
変調コントラスト観察法(レリーフコントラスト法)は、観察対象の高低差を利用してコントラストをつけ観察する方法です。光路の光軸中心から離れた位置にスリットの入ったしぼりを設置し、スリットを通過した斜光で対象を照らします。斜光は高低差のある対象に当たると、屈折率の変化によって光の進行方向が変わります。この屈折差のある光をさらに変調板を通すことでコントラストを生み出し、観察できるようにする仕組みです。変調コントラスト観察法ではプラスチック容器に入った対象物の観察も可能で、微分干渉観察法のように立体的な像を得られるのも特徴です。無色、透明な生体細胞などの観察に向いています。
分散観察法
分散観察法は、インデックスオイルに対象物を封入して観察する方法です。基本的にアスベストの種類を見極めるために用いられます。照明光は観察対象を通過し、インデックスオイルに抜けると分散します。インデックスオイルの屈折率によって分散光の色が異なるのを利用して、アスベストの種類を同定する仕組みです。しかしアスベストと似た物質が混入していた場合の見極めは難しく、偏光観察法や位相差観察法を併用する場合もあります。
まとめ
顕微鏡の観察法にはさまざまなものがあり、観察対象によって適切な観察法を選ばなければ細部までの正確な観察はできません。観察対象に合った観察方法を知ることが、目的に合った顕微鏡選びにもつながります。
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