顕微鏡にはさまざまな種類がありますが、大きくは生物・化学系を用途としているものと、電子部品系を用途としているものに分けられます。今回は、そのような顕微鏡の中から、生物・化学系を用途としている生物顕微鏡と実体顕微鏡の違いを解説します。
生物顕微鏡と実体顕微鏡は光学顕微鏡に分類される
生物顕微鏡と実体顕微鏡は、どちらも顕微鏡の中でも、光学顕微鏡に分類されます。具体的には、これらの顕微鏡は使用する際に対物レンズと接眼レンズで観察するものであり、生物顕微鏡は小学校や中学校の理科や生物の時間に使用した顕微鏡と同じものです。
一方、実体顕微鏡は、性能が非常に優れた虫眼鏡のイメージで、比較的低倍率でも両目で対象物を立体視することが可能です。この点が、生物顕微鏡との大きな違いの一つといえます。
従ってこれらの顕微鏡は、それぞれの特徴に合わせて使い分けられることが一般的です。ここからは、生物顕微鏡と実体顕微鏡の違いを解説します。
生物顕微鏡
私たちが顕微鏡と呼んでいるものは、一般的に生物顕微鏡(Compound Microscope)のことをいいます。
生物顕微鏡には、片目で覗き込む単眼式のものと、両目で覗き込める複眼式のものがあります。そのうち、単眼式の生物顕微鏡の方が一般的で、学校の授業でも多く使用されている状況です。
一方で複眼式の顕微鏡は、研究機関や大学で一般的に使用されているものです。単眼式のものに比べて両目で見えることから見えやすく、目の疲れが生じにくいことから長時間の観察にも耐えられるというメリットがあります。さらに感覚的に立体的に見えるという点もメリットといえるでしょう。
複眼式顕微鏡のデメリットとしては、両目のピントをきちんと合わせなければかえって目が疲れること、重量が重くなること、単眼式の顕微鏡に比べて価格が高くなる点などが挙げられます。
生物顕微鏡で観察できる試料
例えば細胞観察であれば、細胞の構造や形態、機能などを観察できます。また細菌の形態や動き、集団の様子といったものも観察できるのが特徴です。
ただし生物顕微鏡で観察できる試料は、光を透過できるもののみです。なぜなら、この構造の顕微鏡は、下から光源を当て、試料を透過した光を対物レンズで集光することで観察できるからです。そのため逆に光を透過できないものはシルエットしか見えず、内部の状態を見ることはできません。つまり基本的に試料は薄いものである必要があるといえるでしょう。これも実体顕微鏡との大きな違いです。
プランクトンのように、もとから極めて小さなものであれば観察できますが、例えば植物の葉っぱや茎などは、薄く切って切片を見たり、表面の膜を剥がしてその膜を見たりするなどの手順が必要になります。
なお生物顕微鏡の倍率は10倍から2000倍程度まで設定でき、視野に関しては上下左右が逆になって見えるという特徴があります。
実体顕微鏡
実体顕微鏡はさまざまな分野で使用されていますが、代表的な分野としては、医学や生物学、材料科学などが挙げられるでしょう。例えば医学の場合であれば、細胞診断や組織検査、生体内部の観察などに使用されています。
実体顕微鏡の大きな特徴は、試料を1つの目ではなく2つの目で立体的に観察できる点で、これは生物顕微鏡との大きな違いです。生物顕微鏡にも双眼式のものがありますが、それらは1つの視界を単純に2つに分けただけのものであるため、立体的に見ることはできません。
実体顕微鏡は、左右の目がそれぞれ別々の視界を持つことから、肉眼で見ているのと同じように立体的に見ることができます。なお実体顕微鏡の倍率は数十倍程度と、比較的低倍率です。
実体顕微鏡で観察できる試料
実体顕微鏡では、試料を薄く切ったりせず、そのままの状態で観察します。生物顕微鏡は下側から光を当てることで試料に光を透過させて観察するのに対し、実体顕微鏡では上(見る方向)から光を当て、試料に反射した光を観察するのです。そのため、生物顕微鏡のように上下左右が逆になることなく、肉眼で見ている状態と同じ方向から試料を見られます。
言い換えれば、高性能な虫眼鏡を両目に当てて使っているような状態だといえます。
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