ここでは、デジタルマイクロスコープの基本的な選び方を解説します。
将来的に用途や観察対象、求める観察精度などが変化する可能性のある場合や、ベース機能をアップグレードする可能性のある場合には、いつでも必要な機能を選んでカスタマイズできるデジタルマイクロスコープがおすすめ。また、コストパフォーマンスの視点に立てば、購入よりリースのほうがお得な場合もあります。
デジタルマイクロスコープの基本的な選び方
初めてデジタルマイクロスコープを導入する方に向け、デジタルマイクロスコープの基本的な選び方をご紹介します。
以下で説明するポイントを押さえ、用途に合った適切な製品を選びましょう。
デスクタイプとハンディタイプ
デスクタイプとは、一般的な顕微鏡と同様に据置型で使用するタイプ。ハンディタイプとは、本体を手に持って使用するタイプです。
研究用や工業用などの目的で使用する場合はデスクタイプ、授業や学習などの目的で使用する場合や携行する必要がある場合にはハンディタイプがおすすめです。
用途に応じた倍率を選ぶ
用途や観察対象に応じた適切な倍率の製品を選びましょう。
肉眼では細部まで見えにくい微生物や虫などを観察する場合には、5~10倍程度で十分。小学生の自由研究に適した倍率です。
肉眼ではほとんど見えない微小生物の細部構造などを観察する場合には、50~100倍がおすすめ。工業製品の表面状態を評価するにも適した倍率です。
肉眼ではまったく見えない微細な対象(花粉の構造、細胞の染色体など)を観察する場合には、400~1,000倍。このくらいの倍率になると、観察対象によっては逆に見えにくくなることもあるのでご注意ください。
画素数をチェックする
対象物の画像はモニターを通じて確認することになるため、鮮明な画像を得るためには画素数も確認する必要があります。高倍率のデジタルマイクロスコープを導入しても、画素数が低ければ画像は粗くなり正確に観察できないため、用途に応じた適切な画素数を選択しましょう。
ディスプレイ付きとセパレート型
デジタルマイクロスコープの本体にティスプレイが付いたタイプと、ディスプレイを別途で購入して接続するタイプがあります。
屋外で使用したり、様々な場所へ持ち運んだりする可能性がある場合には、取り扱いしやすいディスプレイ付きを選ぶと良いでしょう。ただし、セパレート型に比べ、ディスプレイ付きの製品は性能が劣る傾向もあるため、性能を重視するならばセパレート型を選んだほうが良いかもしれません。
必要な機能が搭載された製品を選ぶ
デジタルマイクロスコープは、製品により搭載されている機能が異なります。導入に際しては、必要な機能が搭載されているかどうかをしっかりと確認するようにしましょう。
例えば、観察画像・動画を資料として残したい場合には、撮影機能の付いた製品を選ぶ必要があります。また、データを共有する必要がある場合には、SDカードが利用可能な製品を選ぶようにしましょう。ピントや明るさを自動調整する機能もあれば、大変便利です。
購入とリース
デジタルマイクロスコープのリースを行っている業者もあります。観察対象や用途が変わる見込みがなく、かつ過不足ない機能性を搭載している製品を見つけたならば購入しても構いませんが、将来的に観察対象が変わったりベースシステムをアップグレードしたりする可能性がある場合には、リースを選んだほうが良いかもしれません。
用途に応じた機能を選んでカスタマイズできるのが理想
上記で「機能性」に関するポイントをご紹介しましたが、研究や品質管理などの業務用としてデジタルマイクロスコープを使用する場合には、より詳細に機能性を確認する必要があるでしょう。
チェックすべき機能性は、例えば次のようなものです。
- ライブ観察
- フォーカス合成
- ハレーション除去/HDR
- 撮影条件の保存
- 手動画像連結
- Z電動ステージ・3D計測機能
- XY電動ステージ・2D/3D自動画像連結機能
- マルチ照明(4分割マルチ照明など)
- 微分ヒステリシスアルゴリズムによる画像改善
- 二値化処理による自動形状計測・自動カウント、など
用途に応じ、これらの機能を選択して自社仕様にカスタマイズできる製品なら、大変理想的です。
【まとめ】過不足なく機能をカスタマイズできる製品がおすすめ
デジタルマイクロスコープの基本的な選び方についてご紹介しました。
教育用・学習用であれば、初めから簡素な機能が搭載されたタイプのデジタルマイクロスコープで問題ありませんが、研究用・事業用の場合には、機能性を重視して製品を選ぶことが大切です。
ただし、マイクロスコープは大変高額なので、コストパフォーマンスの視点に立てば、過不足ない機能のみを搭載した製品を選ぶことが理想。必要な機能を選んでカスタマイズできる製品があるならば、それに越したことはありません。
将来的なカスタマイズの変更やベースシステムのアップグレードの可能性も考え、購入だけではなくリースも選択肢に入れて製品選びをしましょう。